中学生エデュフル

授業力をみがく

幼児教育段階と義務教育段階の指導案の違い

その他 全学年 2025/7/1

(前回の内容はコチラ)

大垣女子短期大学 幼児教育学科 講師 岡本 英通


 この記事を読んでくださっている先生方は、これまでの教師生活で何度も指導案を目にしてきたことでしょう。その中で、もしかすると幼児教育段階の指導案を読んだことがある方もいるかもしれませんね。恥ずかしながら、私は今の所属大学で勤務するまで、幼児教育段階の指導案を見たことがありませんでした。
 幼児教育段階と義務教育段階の指導案を比較してみると、大きく違う点があります。下の画像は、保育学生が実習で行うために書いたものです。よく見てみるとその違いが皆さんにも分かるかと思います。

 教師の支援や活動内容の部分は、似ていますね。一方で「環境構成・準備」という項目が大きく違うところではないでしょうか。幼児教育の中では、教科書はなく、子どもの発達段階や興味関心に合わせ活動を組み立てるため、活動がより効果的なものになるよう、子どもが活動する環境を構成することに力を入れます。子どもが動く動線を考えたり、どのようなものをどこに配置すればよいのかを考慮したり、どこに保育者(先生)がいるべきかを決めて置いたりします。
 指導案は何かの制度や規則に則って書かれているものではないので、決まった形はありません。ですので、一概に言うことはできませんが、ほとんどの場合、幼児教育段階の指導案には「環境構成」が位置づいています。また、幼児教育を構成する領域は5つあり、その中にも「環境」という領域があります。
 私の経験上、素晴らしい学級や授業をつくれる先生は「教室環境を整えるエキスパート」だと思います。きっと、指導案に位置づいていなくても、生徒の席の配置を考えるなど「環境構成」を熟考されているはずです。
 今一度、教室を見直し、子どもが過ごしやすく学びやすい環境づくりをするのもよいかもしれません。


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岡本 英通(おかもと ひでみち)
1993年生まれ
岐阜県内の公立小・中学校(数学科)を通算で4年間、教諭として勤務
2018年 岐阜大学大学院 教育学研究科総合教科教育専攻 サイエンスコース 数学(修士課程)修了
2023年 カールスルーエ教育大学(原文: Padagogische Hochschule Karlsruhe, ドイツ) 自然社会科学数学科後期課程修了
2023年 博士(哲学)カールスルーエ教育大学
現 職 学校法人大垣総合学園 大垣女子短期大学幼児教育学科 講師
専 攻 数学教育学,創造性・創造的思考,遠隔協働学習


※Padagogische Hochschule Karlsruheの“Padagogische”のはじめのaは上部に‥がついたもの。文字化けを避けるためこの表記にしております。

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