中学生エデュフル

授業力をみがく

語源でたどる教育

その他 全学年 2025/6/3

(前回の内容はコチラ)

大垣女子短期大学 幼児教育学科 講師 岡本 英通


 今回は、「教育」という言葉について、いろいろな言語から考えてみたいと思います。

 英語では「教育」を「education」と表現します。この単語の語源は諸説ありますが、「外へ」という意味をもつ「e(ex-)」と「導くこと」という意味をもつ「ducation」で構成されているようです。次に、イタリア語を見てみましょう。イタリア語では「educazione」と表現されます。英語と似ていますね。フランス語なんて、ほとんど同じ表現で「education(※eは上部に´がついたもの)」です。ここまでに例示した3つの言語は、ラテン語を語源にもっています。言葉の根っこ(語源)が同じなら、似た単語になるのは納得できますね。

 それでは、別の言葉の根っこをもつドイツ語ならどうでしょうか。ドイツ語には、いくつか教育という言葉に対応する単語がありますが、例えば、「Erziehung」というものがあります。これも英語などと同様に、「Er」が「中から外へ」を意味し、ziehungが「引っぱること」を意味が合わさって作られています。ちなみに、ドイツ語はゲルマン語が源になっています。

 さらに別の言語で考えてみます。ロシア語では、「Образование」です。正直、見ても全くピンときませんね。では、この単語も分解してみましょう。もともと、この単語は、「образовать'」という「構成する、形成する」といった意味の動詞を名詞化したものです。この単語「образовать'」は「Образ(形・イメージ・方法)(※Oは上部に´がついたもの)」+「-овать(動詞化するための語)(※аは上部に´がついたもの)」で作られています。よって、ロシア語には、教育は「形を創り上げていく」というイメージがあるようですね。

 最後に、日本語(漢字)にも注目してみましょう。今まで挙げた言語に似ているのでしょうか。実は、「育」には、英語の「education」と似た意味があるのです。「育」の月には「肉」の意味があります。そして、月の上にある部分は、「子」が逆さまになったものです。違う方向を見ている子どもを、お肉で気をひき、導こうとしている様子から「育」という漢字が作られたという説もあります。

 このように語源を考えると、世界にある「教育」は、「いままで自分が見ていなかったものに、目を向けさせてくれ、新たな自分を創り上げていくこと」と言えるかもしれませんね。


※文中のフランス語、ロシア語の単語は、文字化けを避けるため、一部アルファベットを変えております。

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岡本 英通(おかもと ひでみち)
1993年生まれ
岐阜県内の公立小・中学校(数学科)を通算で4年間、教諭として勤務
2018年 岐阜大学大学院 教育学研究科総合教科教育専攻 サイエンスコース 数学(修士課程)修了
2023年 カールスルーエ教育大学(原文: Padagogische Hochschule Karlsruhe, ドイツ) 自然社会科学数学科後期課程修了
2023年 博士(哲学)カールスルーエ教育大学
現 職 学校法人大垣総合学園 大垣女子短期大学幼児教育学科 講師
専 攻 数学教育学,創造性・創造的思考,遠隔協働学習


※Padagogische Hochschule Karlsruheの“Padagogische”のはじめのaは上部に‥がついたもの。文字化けを避けるためこの表記にしております。

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