授業力をみがく
ヨーロッパの人たちは英語習得が簡単!?
大垣女子短期大学 幼児教育学科 講師 岡本 英通
突然ですが、皆さんは、何ヶ国語話すことができますか? 私の友人は「関西弁と標準語の2ヶ国語!」と言っていました。
冗談はさておき、皆さんは今までに学校で英語を習っています。ということは、「日本語と英語」が話せるはずです。そう言われると「いやいや、英語は話せない!」と言う方が、多いのではないでしょうか。もちろん、ものすごく話せるのに謙遜している人もいるかもしれません。(実際、日本人は、他の国と比べて謙遜しやすい傾向にあるという研究もあるようですよ。)
一方で、私がドイツで生活をしていたときに同じ質問をヨーロッパ圏の方にすると「母国語と英語の2ヶ国語です」と自信をもって言う方がほとんどでした。そこで、もう少し踏み込んで、「どうして英語をそんなに話せるの?」と聞きました。すると「英語は、母国語と似てるし、むしろ英語はルールが少なくて簡単だよ。」という返事が返ってくるのです。それを聞いて、「確かに」と納得してしまいました。例えば、英語で「私はリンゴを食べる。」と言いたければ、「I eat an apple.」ですね。ドイツ語だと、「Ich esse einen Apfel.」です。なんだか似ていませんか? 「私」はIとIch、「食べる」はeatとesse、冠詞で「ある1つのもの」を表現するanとeinen、「リンゴ」のappleとApfel。単語も似ていれば、文法の順番も同じです。覚えやすいですよね。しかも、ヨーロッパ圏の方は母国語でもアルファベットを使っているので、日本人の私たちのように、新しくアルファベットを覚える必要もありません。さらに言うのであれば、ヨーロッパ圏の言語の多くは単語ごとに性別があります。例えば、ドイツ語の「犬」という単語は「男性」で「猫」という単語は「女性」と決まっています。だから、単語ごとに性別も記憶しなくてはなりません。それに比べて、英語には単語に性別がありませんよね。そう考えると、ヨーロッパ圏の方にとっては、英語が簡単に感じるのでしょう。
余談になってしまいますが、近年、ドイツでは単語に性別がついていることに対するジェンダー問題が起こっているようです。例を1つ挙げると、「Schuler」は男子生徒、「Schulerin」は女子生徒を指します。しかし、複数の生徒を指す場合、しばしば「Schuler」が使用されます。(「Schuler」「Schulerin」のuはそれぞれ上部に‥がついたもの)
他にも、複数形の単語で男性の性別が優先されているものがあります。こうしたことが男尊女卑的な思考を生むのではないかと議論されています。
話を戻しまして、私たち日本語を母国語とするものにとって、英語の習得はヨーロッパ圏の人と比べると難しいのです! ですから、英語が苦手でも「私たちは頑張っているんだ!」もしくは「学校で頑張ってきたんだ!」と自分を褒めてあげてください! そして、学校の生徒にもぜひ、「みんなは頑張っているんだ!」と伝えてあげてくださいね。
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岡本 英通(おかもと ひでみち)
1993年生まれ
岐阜県内の公立小・中学校(数学科)を通算で4年間、教諭として勤務
2018年 岐阜大学大学院 教育学研究科総合教科教育専攻 サイエンスコース 数学(修士課程)修了
2023年 カールスルーエ教育大学(原文: Padagogische Hochschule Karlsruhe, ドイツ) 自然社会科学数学科後期課程修了
2023年 博士(哲学)カールスルーエ教育大学
現 職 学校法人大垣総合学園 大垣女子短期大学幼児教育学科 講師
専 攻 数学教育学,創造性・創造的思考,遠隔協働学習
※Padagogische Hochschule Karlsruheの“Padagogische”のはじめのaは上部に‥がついたもの。文字化けを避けるためこの表記にしております。
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