中学生エデュフル

授業力をみがく

授業をデザインする(10)ICTの特徴と活用の視点

理科 全学年 2024/8/27

(前回の内容はコチラ)

比治山大学現代文化学部 教授 鹿江 宏明


 ICTの活用について,今回はICTを活用する上での視点を考えてみましょう。

 これまで,ICT機器は教師が「教える道具」として活用されてきました。例えば,写真や動画,教科書の紙面をスクリーンや大型ディスプレイに大きく投影したり,センサーを使った実験を演示したりするなどの使い方が一般的だったように思います。


 生徒全員が端末を有する現在では,これまでのような「教える道具」としてのICT活用に加えて,生徒自身が「学習を深める道具」としての使い方も追加されました。GIGAスクール以降,個々の生徒の学習方法も大きな変革期を迎えていると感じます。

 授業内でのICTの活用により,授業のデザインも大きく変わりつつあります。
 例えば,これまでワークシート配付し,書かせて発表するような場面は,生徒が端末から意見を共有ファイルに入力し閲覧できるようになってきました。このようなICT活用の広がりは,授業内での「個人思考→グループ思考→表出→共有」の時間を大きく短縮しています。

 一方で,これまでのように挙手して発表することも大切な学習の場ですし,デジタル/アナログの使い分けは,個々の生徒の学習スタイルが異なるように様々です。教師自身が授業の中でバランスよく使い分け,様々な学習スタイルの生徒に対応することも重要と考えます。

 ICTの活用も,全国的には「まず使ってみる」段階から「学びの質を高める」段階へとフェーズが変化してきました。これからは目的に応じてICTを活用し,授業改善を進めることが重要と考えます。

 次回は授業内での具体的な活用方法について話題にしたいと思います。


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鹿江 宏明(かのえ ひろあき) 博士(教育学)
1963年生まれ
中学校理科教諭として23年間広島県・市の公立中学校、広島大学附属東雲中学校に勤務
1989年 広島大学大学院学校教育研究科(修士課程)修了
2009年 広島大学大学院教育学研究科博士課程後期修了
現 職 比治山大学現代文化学部 教授
活 動 教員養成のほか、科学館のサイエンスショーや科学講座、NPO法人学修デザイナー協会理事長、一般社団法人日本アマチュアオーケストラ連盟理事など、幅広く活動している。

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