授業力をみがく
AIが作る授業教材
大垣女子短期大学 幼児教育学科 講師 岡本 英通
なにかと忙しい毎日。ばたばたしていて、明日の授業準備に手が回らない! そんなとき、授業で使えるプレゼンテーションを30秒でつくれたら、あなたは驚くのではないでしょうか? そんな夢のようなことを、AIが可能にしてくれる時代が到来したかもしれません。
前回、AIでテスト問題を作成するというお話をしました。そこで扱ったAIは、質問に答えてくれたり、条件を与えると画像を生成してくれたりするものでした。そうした汎用型のAIだけでなく、最近では、ある分野に特化したAIも開発されています。例えば、パワーポイント生成に特化したAIがあります。今回は、いくつかあるパワーポイント生成AIの中で、「Gamma」というAIを使い、数学の授業用プレゼンテーションを作っていこうと思います。この「Gamma」は登録無料で、Googleのアカウントを持っていれば、すぐに使うことが可能です。もちろん、無料で使用できる範囲は限られていますが、それでもいろんなことを試すことができます。
では、さっそく数学の「合同な図形」に関するスライドをつくってみましょう。「Gamma」には、いくつかパワーポイントをつくる方法があり、自分でWordに書いた文章を用いてパワーポイントのスライドを作成してくれるものもあります。しかし、今回は「30秒で」パワーポイントをつくるために、その方法は使いません。下の画像にあるPromptという部分に「中学2年生の合同な図形の授業」とだけ入力し、その後AI生成というボタンを押すだけ。すると勝手に8つのスライドを、ものの30秒でつくってしまうのです!

それでは、実際のスライドはどんなものか見てみましょう! 次の画像が、「Gamma」がつくり出したプレゼンテーションです。

AIが自動で生成してくれた画像が入っており、デザイン性も高いように見えます。合同な図形の定義を見ても、間違ってはいませんね。また、その用途まで示してくれています。しかしながら、文句をつけてもいいと言われたら、「できることなら合同な図形だけでつくられた画像をいれてほしいな」や「日常生活に潜む合同な図形の実例を挙げたらいいのにな」と言えてしまいます。下の画像にある実践演習も特定の図形を示して問題を出しているわけではないので、活動内容は示されても、これだけで「演習して」と生徒に伝えていたら、授業が成り立ちません。

この記事では、ただ「中学2年生の合同な図形の授業」とだけ入れて、AIに生成してもらいました。ですので、この程度の精度で作成されています。もっと細かな情報を入れ込めば、もっと質の高いものがつくり出せることでしょう。
先に述べたように、Wordに自分が入れ込みたい内容を書いておけば、このGammaに読み込ませ、瞬時にプレゼンテーションをつくってくれます。そうすると、自分の言葉を使ってもらいながら、素敵なプレゼンが完成します。ぜひあなたも、一度プレゼンテーション生成AIを試してみてください!
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岡本 英通(おかもと ひでみち)
1993年生まれ
岐阜県内の公立小・中学校(数学科)を通算で4年間、教諭として勤務
2018年 岐阜大学大学院 教育学研究科総合教科教育専攻 サイエンスコース 数学(修士課程)修了
2023年 カールスルーエ教育大学(原文: Padagogische Hochschule Karlsruhe, ドイツ) 自然社会科学数学科後期課程修了
2023年 博士(哲学)カールスルーエ教育大学
現 職 学校法人大垣総合学園 大垣女子短期大学幼児教育学科 講師
専 攻 数学教育学,創造性・創造的思考,遠隔協働学習
※Padagogische Hochschule Karlsruheの“Padagogische”のはじめのaは上部に‥がついたもの。文字化けを避けるためこの表記にしております。
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