授業力をみがく
ドイツの学校生活
岐阜大学教育学部 准教授 河崎 哲嗣
今回も前回までと同様に、現在ドイツで研修中である現職の先生に提供をお願いした最新情報をお届けします。
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今回は、ドイツの小・中学生がどのような学校生活を送っているのかを書いてみようと思います。まず、下の2枚の画像を見てください。ドイツの第5学年(日本の小学校5年生)のあるクラスの時間割と、第7学年(日本の中学校1年生)のあるクラスの時間割です。


Montag/Mo(月曜日)からFreitag/Fr(金曜日)まで、行う予定の教科が書かれています。例えば、Deutsch(ドイツ語)やMathematik(数学)やEnglisch(英語)などがあります。他にも、Religion(宗教)やPolitik(政治)という教科があるのも特徴的です。
さて、時間割をよく見ると、気づくことがありますね。なんと、どちらにも13:10には授業が終わる曜日があります。学校によって授業の時間を変更することが可能ですので、ここでお見せしている時間割は一例にすぎません。それでも、多くの学校で、平日の午前中には授業の終了する曜日があるそうです。授業が終わると、基本的に生徒は帰宅することになっています。そのため、平日の14時ころになると、小・中学生が公園やデパートで遊んでいる姿を見られます。もちろん、学校の校庭で遊んでいく生徒もいます。
下の画像は、学校の遊具です。


(余談ですが、ドイツには、卓球台が学校の校庭や公園にあることが多いです。)
また、時間割を見ると、いくつか「ないもの」がありますね。
まず、給食の時間がありません。ドイツには給食の文化はないので、食べ物や飲み物を持参しています。昼休みの時間や空き時間に、持ってきたものを各自で食べるとなっています。そのため、学校にお菓子を持ってきている生徒もいます。他にも、昼ご飯を食べるため、家に帰宅する生徒もいます。
掃除の時間もありません。清掃員の方を雇っている学校がほとんどのようです。部活動のようなAG(Arbeitsgemeinschaften)というクラブのような活動がありますが、参加するかは生徒が自分で決めます。ホームルームも存在しますが、出席確認や連絡事項を伝えるくらいで、あまり時間を取りません。
ここまでにご紹介した内容は、あくまで、私の友人から聞いた話や学校訪問で得た経験をもとにしたものですので、これとは異なる学校もあることをご承知おきください。ですが、ドイツの学校の雰囲気やあり方は、明らかに日本とは違うものがあるなと感じます。生徒は、授業が終わった後に自分の好きな趣味に没頭したり、友達と遊んだりすることが多いようです。ドイツには塾がほとんどなく、学校の後は勉強以外のことに時間を使うのが一般的だそうです。また、生徒が早く帰宅するため、教師は余裕をもって授業準備やその他の業務に取り組むことができます。平日に若手教師向けの講習を学校内で行ったり、午後から大学へ行き研究をしたりすることもできるようです。
このような違いを知ると、驚きを感じるとともに、日本の教育を考え直すきっかけにもなりますね。
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皆さんもご存じのことと思いますが、ドイツでの冬季は日照時間が短く、朝の8時過ぎでも周りは真っ暗、15時位には日没の頃です。この辺りにも始業と終業の欧州的な時間感覚の違いを感じます。(河崎)
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