中学生エデュフル

授業力をみがく

小学校専科の立場から考えた中学校英語授業の再デザインA

英語 全学年 2021/6/29

新潟市立下山中学校 教諭 山ア 寛己

(前回の内容はコチラ)

2 場面の中で使いながら学ぶ(2)

 中学校でも場面を意識した言語活動を行うことができます。次の写真は,中学校2年生で未来表現を学習する単元のまとめとして取り組んだ「夢の旅行計画」の生徒作品です(一部を抜粋)。

 「夏休みを利用して世界のどこにでも旅行に行けるとしたら」という設定で、小学校と同じく旅行会社のパンフレットを使用して課題に取り組みました。生徒は未来表現に限らず、there is/are、I think that、複文などの既習事項に加えて、調べ学習で現在完了(サグラダファミリアの説明)を駆使して表現しています。
 どんな場面・目的で言語を使うのかという大前提を考え言語活動を行うことが、中学校の授業にもより必要な視点だと考えています。

3 様々な配慮と足場かけを

 小学校外国語の教科化で、小学校・中学校の教員が互いに考えなければならないことを挙げます。


[1]文字指導上の配慮

 文字指導は、音と文字を多感覚で学ぶJolly Phonicsなどを用いて教えることが効果的です。そこで意識したいことは、教材として提示する文字のフォントです。教員は,つい手書き文字風の書体を選びがちですが、実は活字体と同じ構造でできているため児童・生徒が手本とするフォントとして適切ではありません。書き写す活動で手本となるSassoon系のフォントやモリサワのUDデジタル教科書体が効果的でしょう。多様な児童・生徒が学ぶ教室では、プリントやスライドなどで提示する英語のフォントが統一されていることも重要です。

[2]活動に足場がけを用意する

 現在、教室には様々な熟達度の生徒たちがいます。どの生徒も授業で達成感や伸長感を味わえるよう、学習活動に「ヒントあり」と「ヒントなし」を用意するなど足場がけをする必要があります。小学校で学習をした児童たちは、中学校で文法や語彙の知識を得て、色々なトピックで話したり、書いたりする機会を楽しみにしています。子どもたちの「できる」を引き出す、魅力的な授業を創造したいものです。



【参考文献】
・文部科学省(2017)『小学校学習指導要領 外国語活動・外国語編』

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山ア 寛己(やまざき ひろき)(新潟市立下山中学校 教諭)

1987年新潟市生まれ。上越教育大学・大学院を修了後,大阪府で勤務。
英語授業改善推進リーダー,小学校英語専科教員を経験する。2020年4月より現職。
多様な子どもが学ぶ公立学校での授業のあり方について模索中。
英語授業研究学会関西支部運営委員。中学校英語教科書『Blue Sky』編集委員。

この原稿は、「Fun with English」2020年特集号に掲載された内容です。

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