中学生エデュフル

授業力をみがく

小学校からの外国語(英語)教育が果たすべき役割(2)

英語 全学年 2021/3/9

上智大学短期大学部英語科 准教授 狩野 晶子

(前回の内容はコチラ)

外国語(英語)教育が広げる多様性

 日本では、いよいよ2020年度より新しい学習指導要領が施行されます。小学校では3年生から『外国語(英語)活動*』が領域として必修化され、5年生と6年生の高学年では教科としての『外国語(英語)*』となります。[*英語を扱っている学校が大多数である現状を踏まえ以後の文中では『英語活動』『英語』と表記します。]新しい検定教科書ではこれまで以上に子どもたち
の目は世界へと広がり、多様な人種、国籍の人々と英語というツールを使って交流します。

 いまの小学生は、ラグビーワールドカップの日本開催、東京オリンピック開催、そして大阪万博の開催など、世界を身近に感じて世界中の人々と交流する機会がたくさんあります。さらにインターネットや通信機器の発展により、世界中とリアルタイムでつながることのハードルはぐっと下がりました。
 小学校でなぜ外国語を学ぶ必要があるのか。答えの一つは、児童期に外国語と外国文化へ興味を持ち、多様性への感受性を高めることが、自国と自文化の中にある多様性を認めて受け入れることにつながるからです。小学校での英語教育はコミュニケーション活動を通して、お互いの違いを受け入れながら相互理解を深めることを大きな目的としています。英語をきっかけに、きっと子どもたちは大人が思う以上にやわらかい心と頭で世界の多様性を受け入れていくことでしょう。そしてそれが、自分たちの身近にある多様性への感受性、寛容性を広げ、よりインクルーシブな社会を作ることに繋がってゆくはずです。


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狩野 晶子(かの あきこ)(上智大学短期大学部 英語科 准教授)

専門は第二言語習得、早期英語教育。近年はとくに小学校英語の研究を進め小学校での英語指導、実践研修に携わる。英語教育に関する著書に加え文部科学省検定教科書や辞書、教材など多数執筆。NPO小学校英語指導者認定協議会(J-SHINE)理事・指導者育成トレーナー、英語授業研究学会理事、児童英語教育学会(JASTEC) 関東支部運営委員。近著:『新学習指導要領の展開 外国語活動編・外国語編』(共著・吉田研作編)明治図書2018年、『プログレッシブ小学英和辞典』 『プログレッシブ小学和英辞典』(共著・吉田研作編集主幹)小学館2019年。

Fun with English 2019年冬号より。

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