授業力をみがく
小学校からの外国語(英語)教育が果たすべき役割(1)
上智大学短期大学部英語科 准教授 狩野 晶子
多様性があたりまえの社会とは
先日ニューヨークで、教員のための教材教具の専門店を訪れました。おもに小学校の先生方を対象とした品ぞろえで、かなり広い店内は教材や教具でいっぱい。各教科のドリルや参考書、指南書などが充実しているのはもちろん、教案を書くためのバインダーノート、イラストの入った名札や壁に掲示する標語ポスター、Good Job!とかGreat!と書かれたシールなど、これがあるといいな、と思うような教具がたくさんありました。写真1は、様々な字体と大きさのアルファベットの切り抜きシート各種が並んだ棚です。

写真1
あれこれ見て回る中、赤ちゃんのお人形たちに出会いました(写真2)。様々な人種の幅広いセレクションで、肌の色だけではなく髪の質感、骨格などもそれぞれの特徴を捉えています。そして家族の人形も(写真3)、同じように様々な人種のものがあり、写真はCaucasianとAfrican AmericanとHispanicですが、ほかにもAsianやNative American が販売されていました。そして街のドラッグストアでは幅広い肌の色に対応した化粧品が、写真4のようにずらりと並んでいます。ここでは多様性を「認める」のではなく、多様性があたりまえであり、それをどう受け止めていくかに教育の力点が置かれているのだと実感しました。

写真2

写真3

写真4
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狩野 晶子(かの あきこ)(上智大学短期大学部 英語科 准教授)
専門は第二言語習得、早期英語教育。近年はとくに小学校英語の研究を進め小学校での英語指導、実践研修に携わる。英語教育に関する著書に加え文部科学省検定教科書や辞書、教材など多数執筆。NPO小学校英語指導者認定協議会(J-SHINE)理事・指導者育成トレーナー、英語授業研究学会理事、児童英語教育学会(JASTEC) 関東支部運営委員。近著:『新学習指導要領の展開 外国語活動編・外国語編』(共著・吉田研作編)明治図書2018年、『プログレッシブ小学英和辞典』 『プログレッシブ小学和英辞典』(共著・吉田研作編集主幹)小学館2019年。
Fun with English 2019年冬号より。
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