中学生エデュフル

授業力をみがく

今日から使える次期学習指導要領(3)

数学 全学年 2020/2/11

文教大学教育学部 教授
永田 潤一郎

(前回の内容はコチラ)

 既にご存じだと思いますが,次期学習指導要領では,これまでとは項目の立て方を変え,単元レベルで「ア 次のような知識及び技能を身に付けること」と「イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること」を分けて示しています。内容もそれに合わせて大きく変わっているのかな…と思い,新旧の学習指導要領で内容として変更のない部分にアンダーラインをつけてみたのですが,ほとんど同じ内容であることがわかりました。新たに加えられたのは,「一元一次方程式と関連付けて,連立二元一次方程式を解く方法を考察し表現すること」で,子どもが思考力,判断力,表現力等として身に付けられるようにすることが求められています。これは,「連立方程式の解き方には,代入法と加減法という解き方があって,次のようにするんだよ…」というような知識や技能を教師が一方的に伝授する指導の見直しを意図したものです。それと共に,1つの文字を消去することで,既習の内容である一元一次方程式の解法に帰着するという考え方を活かし,連立二元一次方程式の解法を考察して表現することが求められています。また,一元一次方程式の解法に帰着するという共通の考え方が使われていることから,子どもが代入法と加減法を統合的に捉えることができるようにする指導も考えられます。

4 今の授業でも活かせる視点

 ここまで読んで,「そんな指導なら,もうやってるよ」という方が多いことを期待しているのですが,どうでしょうか。つまり,これは現行学習指導要領でも十分指導できることなのです。次期学習指導要領には,こうした現在の授業から使える指導改善の視点が他にも含まれています。他の領域や学年の内容にも目を通して,今の自分の指導の改善に役立つ視点を探してみましょう。「今日から使える次期学習指導要領」をこのまま眠らせておくのは,もったいないですよ。

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永田 潤一郎先生
1962年東京都出身。千葉大学大学院教育学研究科数学教育専攻修了後,千葉県内の公立高校・国立中学校に勤務。その後,文部科学省初等中等教育局教育課程課で教科調査官として学習指導要領の改訂や評価規準の作成等を担当すると共に,国立教育政策研究所で教育課程調査官・学力調査官として研究指定校の指導や全国学力・学習状況調査の問題作成及び分析等に取り組んだ。千葉県教育庁指導課教育課程室に勤務後,2012年から現職。

 この原稿は,「理数啓林 授業力をみがく」に掲載された内容を一部改変したものです。

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