授業力をみがく
数学博物館「mathematikum」がある都市
岐阜大学教育学部 准教授 河崎 哲嗣
以前ご紹介した現地校の職員室で見つけた数学マグカップは、とある施設で偶然見つけました。
フランクフルト中央駅から40〜50分で行くことのできるギーセン駅。駅を降りて徒歩10分のところに「mathematikum」(「身の回りの数学」という意味の数学交流館)があります。数学マグカップは、この施設のミュージアムショップで販売されていました。日本には科学館は多くありますが、算数・数学専門の3階建てのミュージアムはほとんど見かけませんね。ドイツに行った際には、数学科の先生はもちろん、小学生から大学生、一般の方まで、ぜひ一度訪れてみてほしい場所です。私も何度も訪れており、現地の小学校の遠足による団体などの訪問で賑わっているときもありました。この施設の数々の展示物や訪れた際の様子も、今後少しずつお話していければと思います。
日本でもそうですが、美術館や科学館を訪れた際には必ずミュージアムショップに立ち寄ることをお勧めします。その店でしか手に入らない掘り出し物に出会うことがあるからです。写真は「mathematikum」のミュージアムショップで手に入れたものの一部です。これは一体どんなものなのか、何を表しているものか、ぜひ考えてみてください。


ギーセンにはとても貴重な施設や史跡が他にもあります。記念館のような施設を偶然見つけ、ドイツでとても有名な偉人(写真右)がいた建物らしいと知り、とりあえず入ってみました。理科の先生なら写真をご覧になっただけですぐに誰の研究室跡であったかお分かりでしょう。試験管、フラスコ、シリンダーなどの器具はもちろん、理科の資料図版にあるようなものや、特殊な装置までありました。この装置群を使って、当時何かを発見したのでしょうね。



『リービッヒ冷却器』と言えば、生徒達の中には「知ってる!」と声をあげる子もいるでしょう。ギーセン大学のリービッヒ、まさにその人の研究所跡でした。農芸化学の父と言われた彼が「植物の生育は肥料の窒素、リン酸、カリウムが必要な栄養素である」と提言したことは有名です。
さて、最後にもう一つ。ギーセン駅前から15分程かけてバスに乗りますと、著名人が埋葬されている墓地に辿り着きます。写真は誰の墓なのか、解読してみてください。

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河崎哲嗣(かわさき てつし)
1964年生まれ
数学科教諭として、23年間京都府立高等学校・京都教育大学附属高等学校に勤務
2002年 京都教育大学大学院教育学研究科(修士課程)修了
2016年 大阪大学人間科学研究科博士後期課程修了
2016年 博士(人間科学)大阪大学
現 職 東海国立大学機構 岐阜大学教育学部准教授
専 攻 数学教育学,教育工学,国際遠隔協働学習,STEAM
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