中学生エデュフル

授業力をみがく

数学的に考えることができる授業の実現に向けて(3)

数学 全学年 2020/8/18

宇都宮大学准教授
牧野 智彦

(前回の内容はコチラ)

3 数学的な思考の可視化に向けた授業改善の視点

 これまで,多くの授業で,教師は,生徒とのやり取りを通して,生徒の考えを引き出したり,生徒同士の考えをつなげたりしてきています。しかし,残念なことに,授業終了時の黒板には,当該授業で解決する問題,生徒の解答,あるいはホワイトボードに書かれた各グループの解答,そして本時のまとめが書かれていることが多いように思います。せっかく,授業の導入部を工夫して問題を設定したり,授業の展開部で,生徒の考えを引き出すために生徒に質問したりしているにもかかわらず,それらを黒板に書き留めないのはとてももったいないと思います。
 数学的に考えることができるようになるために,授業の終盤では,思考の結果だけでなく,思考のプロセスをも振り返らせて,数学的に考えることの「モデル」を捉えさせる必要があります。数学的に考えることの「モデル」を「記録する」ことで,生徒はその「モデル」をノートに書き留めることになります。そうすれば,後の学習で,必要に応じてノートを見直せば,数学的に考えることの「モデル」を活用することができます。生徒が数学的に考えることができるようになるためには,「モデル」を示すとともに,「モデル」を繰り返し活用する機会を設けることが大切です。


(次回へ続く)


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牧野 智彦 先生
1973年群馬県みなかみ町出身。群馬大学教育学部数学科,筑波大学大学院修士課程教育研究科,筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。国立教育政策研究所教育課程研究センター,上武大学を経て,2010年より現職。主な出版物は,『教科教育の理論と授業U:理数編』(大熕・清水美憲編著,分担執筆,協同出版,2012年),『教科教育学シリーズB算数・数学科教育』(藤井斉亮編著,分担執筆,一藝社,2015年)。

この原稿は,「理数啓林 授業力をみがく」に掲載された内容を一部改変したものです。

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