授業力をみがく
インドネシアでの旅行記
大垣女子短期大学 幼児教育学科 講師 岡本 英通
スラマッパギ!(和訳:おはようございます!)
急にインドネシア語で申し訳ございません。先日、ハネムーンでインドネシアのバリ島に行ってきました。人生で初めてのインドネシアで、いろいろなことが起きたので、教育的な視点も踏まえながら、私の旅行記にお付き合いください。
インドネシアと日本は結びつきが強く、とても友好的な関係を築けています。例えば、インドネシアで走っている車やバイクのほとんどが日本製です。写真にあるように、一車線の道路にもかかわらず、ものすごい数の車とバイクです。

信号機もほとんどなく、自分たちで譲りあい(追い越しあい?)ながら、運転をしています。観光客も交通手段は主にバイクかタクシーでの移動です。空港に着くと、「タクシー乗る?」とたくさんの運転手が声をかけてきます。その後、運転手が値段交渉を求めてきます。フライトで疲れていた私たち夫婦は、正規の料金の2倍で乗ってしまいました……。もちろん、大手のタクシー会社(Blue Birdなど)はタクシーにメーターがあり、値段交渉をしなくても大丈夫なものもあります。また、Uberのようなアプリケーションもあります。
朝方に街を歩いていると、いたるところに次の写真のようなものが置かれています。

これは「チャナン」と言われるもので、バリ島で信仰されている宗教である「バリ・ヒンドゥー教」における毎日の神様へのお供え物だそうです。これには、お花やちょっとした食べ物が含まれており、「無事に生きられたことへの感謝」などの意味が込められています。タクシーの中にも置いてあったので、チャナンについて運転手に聞くと、チャナンに置いてある食べ物を野生の動物(猫・犬・鳥)などが食べにくるそうです。それは、バリ・ヒンドゥー教で動物を大切にするという教えがあるからとのことです。
「宗教についてはどこで学ぶのか?」と聞いたところ、小学校から高校まで学校の中で学ぶとのことでした。私たちの日本で言う「道徳」のように、学校教育課程に組み込まれているようです。家庭でバリ・ヒンドゥー教以外の宗教を選んでいる子どもは、その時間に別の場所で自分の宗教について学べるとのことでした。
学校について日本と似ている点は、「制服がある」ということもあります。ただ少し異なるのは、インドネシアでは小学校から高校まで、制服の着用が義務付けられている点です。小学校は赤色、中学校は紺色、高校は灰色などズボンの色まで画一化されているそうで、教育段階の区別や規則の習得、社会的不平等の解消といった目的のもと決められているようです。もちろん、例外もあるとのことでした。
教育の充実度という意味で、高校進学率は2023年の時点で約97%という調査結果がありました。つまり、ほとんどの子どもが高等学校まで教育を受けていると言えます。(調査ごとに基準が異なり、数値は変動しているかもしれませんので、ご注意ください。|参考サイト: https://www.theglobaleconomy.com/Indonesia/ )
高等教育(大学や専門学校等)進学率という点で見ると、日本とは少し異なります。インドネシア国内の2024年統計データによれば、男女合わせた割合でいくと、全体の32%が進学しています。また、男性の進学率が28%、女性の進学率が35%と、女性の方が多く進学する傾向にあるようです。しかし、このデータも都市部と農村部では結果が逆転するとも報告されており、一概に女性のほうが高等教育を受けているとは言い難いです。
(インドネシア国内の2024年統計データ:https://www.bps.go.id/en/statistics-table/2/MjE5OSMy/persentasependuduk-usia-25 )
女性の進学率が男性より相対的に高くなる背景には、男性の方が高校を卒業してからすぐに働ける場所があり、女性の場合、安定した職や専門職に就くためには高等教育機関の卒業を求められることが多いことがあるそうです。インドネシア政府が女性の教育推進を進めていることもあり、様々なサポートを受けやすいことも理由として挙げられます。
そうした政策を行っているインドネシア政府ですが、インドネシア人の多くが政治腐敗がひどいと嘆いています。乗車したタクシーの運転手は、「インドネシアは観光などでもたくさん稼いでいるはずなのに、私たちの生活はなかなか豊かにならない。それは、稼いだお金が誰かのポケットに吸い込まれているからだ。」と言っていました。ですが、そこで終わらず、「でも、私たちはそれを気にしない。悪いことをすれば悪いことが起き、良いことをすれば良いことが起きる。だから、私は悪いことをする人のことを考えず、私自身は良いことをし続ける。」と笑顔で言っていました。そんな話をした数十秒後に、目の前に強風で折れたポールが落ちてきて、間一髪でタイミングよく避けることができ、事故にならずにすみました。「私たちはこれまでいい人だったから助かったね!」と言われ、なんだか一瞬目に見えない大きな力を感じたハネムーン旅行でした。
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岡本 英通(おかもと ひでみち)
1993年生まれ
岐阜県内の公立小・中学校(数学科)を通算で4年間、教諭として勤務
2018年 岐阜大学大学院 教育学研究科総合教科教育専攻 サイエンスコース 数学(修士課程)修了
2023年 カールスルーエ教育大学(原文: Padagogische Hochschule Karlsruhe, ドイツ) 自然社会科学数学科後期課程修了
2023年 博士(哲学)カールスルーエ教育大学
現 職 学校法人大垣総合学園 大垣女子短期大学幼児教育学科 講師
専 攻 数学教育学,創造性・創造的思考,遠隔協働学習
※Padagogische Hochschule Karlsruheの“Padagogische”のはじめのaは上部に‥がついたもの。文字化けを避けるためこの表記にしております。
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