授業のワンポイント
解の吟味の扱い
■解の吟味の扱い
方程式の解は,あくまでも現実の問題を解決するために設定した数学的なモデルにおける数学的な処理の結果にすぎません。そのため,これが必ず現実の問題の答えになるとは限らず,方程式の利用では解の吟味が必要になります。
例えば,方程式を利用してケーキの値段を求めたとき,解が負の値になったり,出したお金より大きな値になったりした場合には,この解はあっておらず,そのまま答えとしてはいけないことになります。そのようなことが起こっていないかどうかを調べるのが解の吟味です。
一次方程式しか使えない1年の段階で,解が問題にあわない場合に出会うことはそれほど多くはないため,解の吟味がなぜ必要なのかを,生徒はなかなか理解できないかもしれません。それでも,教科書p.105の問4のような実際に解が問題にあわない場面にふれ,その必要性をしっかりと理解させることが大切です。
また,解が問題にあわない場合が頻繁に現れる3年の二次方程式までを見越した指導によって,これを計画的に理解させることも考えられます。
3年の二次方程式を見越し,解の吟味の必要性を実感させておきたい。
一方で,解の吟味で調べたことを解答に示す場合に,どの程度のことを書けばよいかは,柔軟な扱いが求められます。解の吟味で調べる内容は問題によって異なり,それを表現する記述も,一通りに定まらないからです。
はじめのうちは,解が問題の答えとしておかしなところがないかを,指導の中で生徒と一緒に確認し,調べたことがらを板書して示すことも必要です。そして,解の吟味をする姿勢が生徒にしっかりと身についてからは,解答には,「この解は問題にあっている」程度のことが書かれていれば,解の吟味をしっかりとおこなったことが示されていると受け止めてよいでしょう。
ただし,解の吟味を,方程式を使った問題解決のプロセスの一部としてとらえることができるような指導を忘れないようにしましょう。
[3章]方程式
2節 方程式の利用(教科書p.99〜111)
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