授業のワンポイント
金属のイオンへのなりやすさ
■硝酸銀水溶液に銅片を入れたときの様子
まず,章の導入写真を生徒に見せ,何が起こっているかを考えさせます。銅と銀のイオンへのなりやすさの違いが原因になっていますが,以下のようなイラストを描いて説明すると分かりやすいでしょう。

かきこみ例
金属を電解質水溶液に入れたときの変化を原子やイオンの概念に基づいて考えるのは,生徒にとって初めての学習なので,モデルでの表現が多様になると予想されます。モデルの図とともに,図の説明を記述させたり,口頭で発表させたりしたいところです。そうすることで,生徒がどのように現象を捉えているのか,どこでつまずいているのかを具体的に知ることができます。
【生徒のつまずき】
原子の構造やイオンのでき方はすでに学習していますが,原子が電子を失って陽イオンになることや,陽イオンが電子を受け取って原子になることは,十分に定着していません。この後のダニエル電池にも関わってくる重要なポイントですので,厚紙やマグネットを用いたモデルを動かすなどして,しっかりと定着をはかっておきましょう。
■金属イオンのなりやすさ
銅,亜鉛,マグネシウムのイオンへのなりやすさの順番を見いださせ,探求的に課題を解決する機会を持たせることがねらいです。
10mm四方の銅片,亜鉛片,マグネシウム片を2枚ずつ,5%の硫酸銅水溶液,硫酸亜鉛水溶液,硫酸マグネシウム水溶液を用意し,それぞれの種類の金属片を複数の種類の水溶液の中に入れ,反応を見ます。この際,生徒の混乱を避けるために,同種の金属と硫酸塩水溶液の組み合わせの実験は行わないものとします。
点眼びんやスポイトを用いると,誤って水滴が飛んできてしまうことがあるので,この実験では必ず保護眼鏡を着用し,直接手で触れないようにさせましょう。もし,目に入った場合には,多量の流水で洗わせてください。
金属と水溶液の組み合わせは6通りありますが,以下の図のようにペトリ皿を用いて,比較するものどうしをセットにして置く位置を決めておくとよいでしょう。

ペトリ皿を用いた実験
■ダニエル電池の製作
ダニエル電池を製作し,化学エネルギーが電気エネルギーに変換されることを見いださせることがねらいです。また,ダニエル電池の製作を通じて,電池の基本的なしくみを考察させることも目的の一つです。
アクリル容器とセロハンを使った方法,ろ紙とセロハンを使った方法の2通りがありますが,それぞれの長所と短所を理解した上で使い分けるようにしましょう。また,金属イオンのなりやすさに関する実験と同様,水溶液の取り扱いには特に注意させ,必ず保護眼鏡を着用させてください。
[物質]化学変化とイオン
2章 電池とイオン(教科書p.124〜141)
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