授業のワンポイント
大地の観察
■大地の変化
新しい単元の導入にあたり,大地の変化によって生まれた様々な地形を生徒に紹介して興味を持たせるとよいでしょう。そのうちの代表例を以下に説明します。
@昭和新山
昭和新山は,有珠山を形成する溶岩ドームの1つです。1943年に火山活動が始まり,翌年の1月に,一帯の地域が隆起を始めました。戦時下で研究者などが調査できない状況で,地元の郵便局長であった三松正夫は,定点観測を行い,克明なスケッチを取り続けました。その記録は「ミマツダイヤグラム」と呼ばれ,世界でも高く評価されています。

昭和新山ができた後の様子 提供:三松正夫記念館
Aしゅう曲
しゅう曲とは,地層が2方向からの圧縮の力や,隆起・沈降の力を受けて,波打ったように曲がった状態のことです。しゅう曲の存在から,過去にその地層などが長時間かけて大きな力を受けたことがわかります。大規模な,しゅう曲はアルプス,ヒマラヤ,アンデス,ロッキー山脈などで見ることができます。
B割れてずれ動いた大地
多くの場合,断層は鉛直方向のずれと水平方向のずれが組み合わさっています。教科書の地層の写真はいずれも鉛直方向のずれが明瞭で,逆断層と正断層の違いもはっきりとわかります。
■地域の大地の観察
この実験では,地域の身近な大地の成り立ちや変化を調べることがねらいです。
まず初めに,海岸や川原,露頭などの全体のようすを観察して記録します。続いて,各地層や岩石などのようすや化石の有無,れきの大きさや形など,全体を構成している1つ1つのようすを記録していきます。
観察前には,事前に管理者や所有者に対して,何をどのように行おうとしているのかなどの概要を伝えて使用許可を得ておくようにしましょう。また,観察対象のようすを記録し,のちの学習でも活用できるように,カメラなどを用意しておくとよいでしょう。
【参考】ボーリング試料の観察
学校や役所などを建設するときには,事前に地質調査が実施されています。学校の近くに露頭がなく,地層を観察できない場合,この調査で得られたボーリング試料を入手して観察させ,地下の地層の広がりを推測させることができます。その際,グラフ用紙や方眼紙を準備しておき,柱状図で整理させるとよいでしょう。
なお,ボーリング試料を容器から出して観察するときには,事前に管理者の許可を得るなど,手続きが必要な場合があるので,扱いには十分注意しましょう。

左:柱状図の記載例,右:2地点の対比例
[地球]活きている地球
1章 身近な大地(教科書p.64〜69)
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