授業力をみがく
対話的な学びの実現に向けて(1)
宇都宮大学准教授
牧野 智彦
1 「対話」の概念への着目
新学習指導要領で,児童生徒に目指す資質・能力を育むための授業改善の視点の一つに「対話的な学び」が位置付けられています。中教審答申で,算数科・数学科での「対話的な学び」の視点について,「事象を数学的な表現を用いて論理的に説明したり,よりよい考えや事柄の本質について話し合い,よりよい考えに高めたり事柄の本質を明らかにしたりする」と書かれています。
この記述から,「対話的な学び」のキーワードとして,「説明」や「話し合い」が目に留まります。ややもすると,現在言語活動として行われていることを継続すればよいと思うかもしれません。ところが,中教審答申で,言語活動に関して,「単なる話し合いにとどまり形骸化している」という課題が指摘されているように,単なる話し合いを越えた活動にしていくことが求められています。では,教師は何をしたらよいのでしょうか?
そこで,「対話的な学び」の視点から授業改善を図るために,そもそも「対話」とはどういうことなのかに遡って考えたいと思います。
引用・参考文献
・中央教育審議会(2016). 幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)
・文部科学省(2017)『中学校学習指導要領解説数学編』
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牧野 智彦先生
1973年群馬県みなかみ町出身。群馬大学教育学部数学科,筑波大学大学院修士課程教育研究科,筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。国立教育政策研究所教育課程研究センター,上武大学を経て,2010年より現職。主な出版物は,『教科教育の理論と授業U:理数編』(大熕・清水美憲編著,分担執筆,協同出版,2012年),『教科教育学シリーズB算数・数学科教育』(藤井斉亮編著,分担執筆,一藝社,2015年)。
この原稿は,「理数啓林 授業力をみがく」に掲載された内容を一部改変したものです。
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