授業のワンポイント
証明と定理
■全国学力・学習状況調査
証明の際に用いた図形と形が変われば,あらためて証明する必要があると考える生徒が少なくありません。
全国学力・学習状況調査では,証明に用いられている図形が考察対象の図形の代表であるとの理解が不十分であることが明らかになっています。
ある図形について証明されたことがらは,その過程を満たすすべての図形について例外なく成り立つという証明のよさを,指導の過程においても確認しておきましょう。
p.127の「話しあおう」では,まず,「証明しなおす必要があるか」について,生徒に自由に発言させてみるとよいでしょう。教師が,ここで示された二等辺三角形がp.126の証明で用いたものとは形が異なることをあえて指摘して,ゆさぶりをかけてもかまいません。その上で,新しく示された二等辺三角形を見ながらp.126の証明を読ませて,そのまま適用しても問題なく,改めて証明しなおす必要がないことを明らかにします。

■「定理」と「性質」の違い
教科書p.128では,定理を「このように,証明されたことがらのうち,基本になるもの」と説明しています。
ここでいう「基本になるもの」についての判断は,ある人が基本的なことがらだと考えていても,別の人はそれを基本的なことがらだと考えていないこともあります。生徒にとって何が基本となるものかの判断は難しく,この組の証明の中で根拠としてよく使うものなどを中心に,まず教師が適宜使うことで用語に慣れさせましょう。
この教科書では,一般にひろく「定理」として認められていると考えられる「中点連結定理」「円周角の定理」「三平方の定理」をまとめの枠の中で定理として示し,それ以外を性質として整理しています。
[5章]図形の性質と証明
1節 三角形(教科書p.124〜138)
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