授業のワンポイント
地震の特徴とマグマの性質
■地震のゆれはじめの特徴
地震計の記録を整理する実習を行い,震央から遠くなるほど,地震が発生してからゆれ始めるまでの時間が長くなることを理解させます。また,等発震時曲線を作図する実習を行い,地震のゆれはどの方向にもほぼ一定の速さで広がっていることを生徒に把握させます。
教科書p.77の実習は,地震が発生してから何秒後にその地点がゆれたか,という過去の地震のデータを用いて行います。まず,日本地図上において,色の境目となる秒の値を確認させて,色鉛筆で着色をさせます。着色させることで,ゆれの広がり方の理解を深めることができます。
続いて,異なる色の境界を線で引いていきます。このとき,折れ線のように結ぶのではなく,極端な凹凸にならないよう,なめらかな線を引かせます。一方で,円をかくというイメージが強すぎる生徒は,コンパスを使って作図しようとしますが,等発震時曲線は完全な同心円にならないことが多いので,なるべくコンパスを用いずにかかせるようにしましょう。事前に教科書の例を示しておくと,どのような線を引けばよいかがイメージしやすくなります。
■火山灰の観察
マグマや火山の学習の導入として,火山灰の観察を行います。火山灰にふくまれる鉱物の種類を色や形などでグループに分けることにより,それぞれの鉱物の特徴やふくまれる割合を調べます。火山灰は,色が異なるものを準備しておくとよいでしょう。
まず,小さじ1ぱい程の火山灰を蒸発皿に入れ,水で湿らせます。これを親指の腹でよくこね,水を加えてかき混ぜた後,にごった水を捨てます。水がにごらなくなるまでこれらの作業を繰り返します。作業は水道・流しのあるところで行うのがよいでしょう。ただし,流しに直接,にごった水を捨てず,いったんバケツなどに取り,沈殿物と上澄み液に分離させてから処理します。
そして,よく乾燥させてから,底に残ったものをペトリ皿に移します。磁石の先を薬包紙に包んで,磁石に引きつけられた粒を除いた後,双眼実体顕微鏡で20〜40倍に拡大して観察します。最後に,観察した結果をもとに,えつき針を使って色や形によってグループ分けをし,下の表にセロハンテープではりつけさせます。
グループ分けをした後,火山灰の色は黒っぽいか白っぽいかを観察させ,そのように見えるのは,火山灰にどのような色の粒(鉱物)がどれくらいの割合でふくまれているためか,考察させましょう。

鉱物をはりつける表

火山灰にふくまれる主な鉱物 カンラン石は,この粒径では無色に見える。
■マグマの性質と火山の形の関係
教科書p.91の実験を通して,マグマのねばりけの違いと火山の形の関係を調べます。ここでは,歯科で用いる型どり剤を使う方法について説明します。
あらかじめ型どり剤を入れておいたポリエチレンの袋を塩ビ管に通し,その端約1cm程度を紙皿にあけた穴に通します。このとき,袋の口は折り返しておき,紙皿の上には広げず,そのまま通します。また,塩ビ管と穴の間に隙間があるときには,紙粘土などで埋めておきます。
続いて袋に水を入れていきますが,型どり剤が舞って出てくることがあるので,保護眼鏡を着用させるとともに,吸い込まないように注意させましょう。
そして短時間でもんで混ぜ,ゆっくり押し出させます。押し出すようすを動画で撮影しておくと,結果を整理したり考察したりするときに役立ちます。
この実験を,ねばりけが小さい物質と大きい物質について行い,流れ方や流れた後の傾斜の違いについて考察させましょう。
[地球]活きている地球
2章 ゆれる大地
3章 火をふく大地(教科書p.75〜95)
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