中学生エデュフル

授業力をみがく

今日から使える次期学習指導要領(1)

数学 全学年 2019/12/10

文教大学教育学部 教授
永田 潤一郎

1 次期学習指導要領に向けて

 次期学習指導要領が,2017年3月31日に公示されました。ご存じの通り,学習指導要領は,これまでもおよそ10年ごとに改訂されてきました。次期中学校学習指導要領は,2021年度から全面実施されます。東京オリンピック・パラリンピックの翌年から,2030年頃の社会の在り方を見据えながら,学校教育を通して,その先の未来をよりよく生きていくために子どもたちに求められる「生きる力」を育むことを目指しています。社会の変化が加速度を増し,複雑で予測困難となるであろう世界で,子どもたちが変化を前向きに受け止め,自らの人生を豊かなものにしていくために,今何を教える必要があるのか…私たちがしっかり考える必要があります。

2 新しい指導内容への対応

 そのために,次期学習指導要領の全面実施に向けた取り組みは,中学校数学科の現場でも始まっています。例えば,統計や確率についての内容で構成される「資料の活用」の領域については,「データの活用」と名称が改められるだけでなく,新たな指導内容が加えられます。そのひとつが第2学年で指導することになる「箱ひげ図」で,次期学習指導要領には,「四分位範囲や箱ひげ図を用いてデータの分布の傾向を比較して読み取り,批判的に考察し判断すること」が示されています。国立大学法人の附属中学校など,先進的な実践研究に取り組む中学校では,この箱ひげ図をどのように指導するべきかをテーマにした授業研究会や研究発表会が既に数多く企画・開催され,「箱ひげ図ブーム」の様相を呈しています。こうした進取の気性は,今後の中学校数学科の指導の方向性を占う上で重要ですから,是非その提案の内容や実践としての有効性に注目したいものです。


(次回へ続く)

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永田 潤一郎先生
1962年東京都出身。千葉大学大学院教育学研究科数学教育専攻修了後,千葉県内の公立高校・国立中学校に勤務。その後,文部科学省初等中等教育局教育課程課で教科調査官として学習指導要領の改訂や評価規準の作成等を担当すると共に,国立教育政策研究所で教育課程調査官・学力調査官として研究指定校の指導や全国学力・学習状況調査の問題作成及び分析等に取り組んだ。千葉県教育庁指導課教育課程室に勤務後,2012年から現職。

この原稿は,「理数啓林 授業力をみがく」に掲載された内容を一部改変したものです。

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