中学生エデュフル

授業のワンポイント

電流と磁界の関係

理科 2年生 2025/1/28

■電流がつくる磁界

 電流がつくる磁界がどのような磁力線で表されるかを見いださせることが目標です。また,電流がつくる磁界の向きと電流の向きとの関係や,導線からの距離や電流の強さと磁界との関係について,生徒に調べさせます。
 エナメル線は,直径0.5〜1.0mm程度のものを用意しましょう。鉄粉は,200〜300meshのものがよいでしょう。方位磁針は,直径15mm程度の小型のものを用意しましょう。
 コイルは,スタンドや空き箱を利用して,エナメル線を15cm×15cm程度の正方形状に20回程度巻いたものを使います。コイルができたら,ほどけないように束ねてセロハンテープで数カ所をとめておきます。
 続いて,導線を白紙に通して実験を行いますが,このとき鉄粉はできるだけ均一に,また,あまり厚くならないように散布します。流す電流としては,2A程度がよいでしょう。また,過電流とコイルからの発熱を防ぐため,5Ωの抵抗器をコイルと直列に接続しますが,通電中は抵抗器が熱くなるので,手などを触れさせないように指導します。
 白紙の上に方位磁針を置いてその様子を観察実験では,あらかじめ白紙の上の鉄粉を,ポリエチレンの袋に入れた磁石で回収しておきます。このとき,息をふいたりして鉄粉が目に入らないように注意させましょう。
 電流の向きを変えるときは,必ずコイルに接続されている導線をつなぎかえさせましょう。電源装置の+端子とー端子に接続されている導線を入れかえると,電流計に対する電流の向きが逆になり,電流計を破損するおそれがあります。
 実験結果は,電流の向きが自分から遠ざかる向きのとき,磁界は時計回りになり,自分に近づく向きのとき,次回は反時計回りになります。いずれの場合も,磁界は導線に近いほど強くなります。

実験結果(磁界の向き)

■電流が磁界から受ける力

 磁界の中においた導線に電流を流したとき,どのような現象が起こるかを観察させます。そして,その実験の中で,電流にはたらく力の向きが,電流の向きや磁界の向きによってどのように変わるかを見いださせます。最終的には,電流にはたらく力の大きさと,電流の大きさや磁界の強さとの関係を理解させることが目標です。
 まず,教科書のp.268の図を参考にして装置を組み立てます。このとき,磁石はできるだけ磁力の大きいものを準備しましょう。アルニコ磁石でできたU字磁石を使用すれば,電流が小さくても実験可能です。また,コイルのブランコのつけ根の部分が滑らかに動き,かつ電気的な接触がよくなるように注意します。金具の輪の部分とエナメル線の接触部分は紙やすりでよくみがいておきましょう。
 6V-0.6A程度でコイルの振れがよく分かります。抵抗器は回路の保護のために入れますが,電源装置のかわりに1.5Vの乾電池を使う場合には,抵抗器なしでも実験可能です。
 続いて,電流の向きを逆にしてコイルの動き方を観察します。このとき,先ほどの実験と同様,金具にとめた導線のクリップを左右入れ変えるように注意します。電源装置の+と−に接続された導線を入れかえると,電流計が破損するおそれがあります。
 その後は,U字磁石の磁極を入れかえたり,電流の大きさを変えたり,また,磁石を強さの異なるものに取りかえたりして,その際のコイルの動き方を比較します。実験中は抵抗器が熱くなるので,動き方が確認できたらすぐにスイッチを切らせるようにしましょう。
 実験後,実験結果から見いだされる規則性を,必要十分な言葉で説明・記述させるように指導します。

[エネルギー]電流とその利用
3章 電流と磁界(教科書p.262〜271)

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