授業のワンポイント
金星の見え方の変化
■月の形と位置の変化を調べる実験
同じ時刻に見られる月の位置と形の変化を調べることによって、月の位置が毎日東にずれていくことや、満ち欠けにより形が変化していくことを把握させます。
まず、観測をする時期に、三日月となる月日を天文年鑑やインターネットなどで調べます。観測場所としては、空の南側半分が見晴らしのよい場所とします。観測場所で東西南北の方位を確認し、南の空に向かって東から西の方位にある建物や木など、目印になる地上の風景を記録用紙にスケッチします。続いて、最初に調べた日の夕方に月の観測を行い、月の位置と形、日時を記録用紙に記録します。
この月の観測を2〜4日ごとに約2週間、同じ時刻に同じ場所で行い、記録を加えていきます。スケッチは、地平線を記入しておくとよいでしょう。建物や木の形はおおざっぱでかまいません。
同じ時刻に見られる月の位置や形についての観察結果から、これらの変化にはどのような規則性があるのか、生徒に考察させましょう。
また、夜間の観測のため、安全な場所を選び、教師か保護者が同伴するようにしましょう。

観察結果の一例
■金星の観測
金星が、恒星の年周運動とはちがって複雑に星座の間を移動しながら、形や大きさを変化させていくことを観測によって把握することがねらいです。
よいの明星を継続して観察する方法と、天体シミュレーションを用いる方法があります。
<よいの明星を継続して観察する方法>
@金星(よいの明星)を継続して観測できる、南西から西の空が見晴らせる場所を決めます。
A金星の周囲にある星座と金星の位置をスケッチします。次に、倍率を固定して、望遠鏡で観測した金星をスケッチし、形や大きさを調べましょう。
BAの作業を約2〜4週間ごとに3か月ほど継続して行います。
金星が観測できる時期は限られているため、授業の進度と合わない場合は、あらかじめ観測させるなど工夫が必要になります。
<天体シミュレーションを用いる方法(ICTでトライ)>
時期的に観測が困難な場合、コンピュータシミュレーションを用いるのも有効です。
@教科書p.90の図67やインターネットなどを利用して金星が観察できる時期を検索し、夕方に金星が観測できる時期と方位を調べます。
A天体シミュレーションソフトを起動し、地平座標表示にして方位・高度も表示します。西の空が画面中央になるようにし、日時を指定します。
BAの画面と10日後、20日後の同じ時刻の画面を印刷して比較しましょう。
C日周運動の動きを止めて、星座の星に対しての金星の動きを調べます。
D太陽系の惑星位置や望遠鏡で見た金星像をサブウィンドウに表示し、地球と金星の位置が変化することによって金星の見え方が変わることを調べます。
■金星の見え方の変化
金星の見かけの形や大きさが観測日によって変化することを見いださせ、その理由について金星、太陽、地球の位置関係に注目させて仮説を立てさせます。そして、仮説を確かめることができるモデルを考えさせ、その結果と金星の見え方を関連づけて考察させます。
まず、卓球ボールの半面を黒くぬり、金星と地球の公転軌道を紙にかきます。このとき、太陽と地球の距離が1天文単位に対して、太陽と金星の距離は0.7天文単位であることを生徒に伝え、ある程度正確に公転軌道の線を設定するように指導しましょう。
続いて金星の公転軌道に45°ずつ点を打ち、卓球ボールを公転軌道上で動かし、その動きを、筒を通して観察します。これは、観察したときの視野の広さを一定にするためです。観察の際、視野に対して卓球ボールの大きさがどのくらいかスケッチするようにアドバイスするとよいでしょう。
また、それぞれの位置に卓球ボールを移動して観察するときには、ボールの明るい面が太陽に向いていることを確認するように指導し、観察するときには金星の形と大きさの2点についてスケッチするように伝えましょう。
タブレットのカメラやデジタルカメラを用いて撮影すると、視野と一定にし、簡易に記録することができます。その際、ズーム機能は使わないよう指導しておきましょう。

金星(卓球ボール)の見え方の変化
[地球]宇宙を観る
3章 月と金星の動きと見え方
(教科書p.82〜99)
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