中学生エデュフル

授業力をみがく

小中学校理科における複合災害の授業とその意義

理科 全学年 2026/6/30

桃山学院大学人間教育学部 特任教授 川真田 早苗


 近年、複数の自然災害が同時にまたは連続して発生することが増えています。このような災害を「複合災害」と呼びます。地震の後に大雨が降り、土砂災害が起こる場合などがその例です。たとえば、令和6年能登半島地震後の豪雨による土石流災害や土砂災害、熊本地震後の降雨による土砂災害などは記憶に新しいと思います。複合災害の発生頻度は、気候変動の影響により今後も高まることが予測されており、私たちの社会にとって重要な課題です。

 現在、小・中学校では、児童生徒が自然現象と自然災害の関係について学ぶ授業が行われています。しかし、複合災害については十分に取り上げられていないのが現状です。特に、高校で地学を選択する生徒の割合が、物理・化学・生物と比べてかなり低いことから(文部科学省,2026)、複合災害の学習は小学校と中学校が連携して取り組む必要があると考えられます。

 小学校では、自然災害を引き起こす素因や誘因となる自然現象(雨水の浸透、流水の動き、天気の変化、土地のつくりなど)を体験的・観察的に学び、「自然現象Aが自然災害Xに関係する」というように、自然現象と自然災害の結び付きは関連付けに留まります。
 一方、中学校では、「なぜそうなるか」をモデルや法則で説明する方向に進みます。内容の広がりや抽象度も増し、資料やデータを読み取り、因果関係を論理的に説明する力が重視されます。

 複合災害を理解するためには、小学校では「基礎的な考え方や自然現象と自然災害のつながりを学ぶこと」、中学校では「複合災害がどのように連鎖して起こるのかを具体的な事例をもとに考えること」が大切です。小学校と中学校がそれぞれの役割を意識しながら授業を行い、両方の学びがうまくつながるようにすることにより、先行事象が環境を変え、後続事象が被害を拡大するという複合災害の本質を理解できるようになります。

 小学校と中学校で複合災害について理科の授業で学ぶことで、子どもたちは自然災害発生時に自分や周囲の命を守る力を身につけることができます。また、こうした学びを通じて、将来的には安全な地域づくりに貢献できる人材へと成長することが期待されます。


【引用文献】
文部科学省(2026) 「令和7年度公立高等学校等における教育課程の編成・実施状況調査の結果について」教育課程企画特別部会 参考資料3-2


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川真田 早苗(かわまた さなえ) 博士(学校教育学)
1964年生まれ
小学校教諭として34年間徳島県の公立中学校に勤務
1986年 徳島学大学教育学部 小学校教員養成課程卒業
2018年 兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科 教科教育実践学専攻(博士後期)課程修了
現 職 桃山学院大学人間教育学部 特任教授
趣 味 砕石ガーデンでも花畑ができるかなと思い立ち庭いじりが趣味となりました。砕石を敷いた庭に,前年度に収穫した数種類の種子を適当に蒔き,砕石の間からどんな種子が発芽するのかをわくわくしながら観察しています。今は,スイートピーが花盛りです。

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