授業力をみがく
光の色 〜自作したDVD分光器で光源の光を分光する〜(1)
北海道教育大学教授
田口 哲
1 はじめに
中学校理科では,「光の色」は,発展的事項として教科書で取り上げられることはありましたが,学習指導要領上の学習内容ではありませんでした。しかし,2021年度から全面実施される新しい中学校学習指導要領では,エネルギー領域の単元「光と音」の学習事項として「光の色」が新たに加わりました。「光の色」は,虹など身近に見られる自然現象と密接な関わりを持つ学習内容ですので,生徒が興味を持ちやすい内容だと思います。そこで,光の学習で活用でき,安価かつ高性能のものづくり教材でもある,若林氏が開発した「DVD分光器」1,2)を紹介します。
2 「光の色」の学習内容
新学習指導要領では,「(ア)光と音」の「ア 光の反射・屈折」において「光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだして理解すること」とありますが,「内容の取扱い」において,「白色光はプリズムなどによっていろいろな色の光に分かれることにも触れること」とされています。また,新学習指導要領の解説では「光の色については,例えば,雨上がりなどに虹ができることを取り上げ,白色光はプリズムなどによっていろいろな色の光に分かれることに触れる」とあります。

(光の世界画像)
引用・参考文献
1) 若林文高,化学と教育,55 (7) 340 (2007)
2) 若林文高,化学と教育,65 (2) 76 (2017)
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田口 哲先生
1968年北海道生まれ。北海道教育大学卒業。北海道大学大学院理学研究科修士課程・同大学院地球環境科学研究科博士課程修了。博士(地球環境科学)。北海道教育大学講師、准教授を経て2011年より現職。専門は物理化学、化学教育。1999〜2001年大学入試センター教科専門委員会委員、2006〜2011年大学入試センター教科科目第2委員会委員。化学教育ジャーナル(CEJ)編集委員。著書「理科教育学−教師とこれから教師になる人のために−」(東京教学社)、「解説実験書 新しい北海道の理科」(北海道教育大学)。電気化学・物理化学に関する論文、化学教育に関する論文等多数。
この原稿は,「理数啓林 授業力をみがく」に掲載された内容を一部改変したものです。
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