授業のワンポイント
電流による発熱量
■回路全体の電気抵抗を調べる実験
2個の抵抗器のつなぎ方によって全体の電気抵抗はどのように変わるかを調べます。
まず20Ωと30Ωの抵抗器を直列につなぎ,電圧計と電流計を配線します。続いて電圧計が3.0Vを示すように電源装置を調整し,そのときの電流計の目盛りを読み取って記録します。このとき,抵抗器が熱くなるので十分注意させましょう。
今度は20Ωと30Ωの抵抗器を並列につなぎ,同様にして調べます。
抵抗は電圧を電流で割って求められるという法則を用いて,実験結果から直列回路と並列回路のそれぞれの電気抵抗を計算させましょう。
■電流による発熱量
電熱線に電流を流して,電熱線の発熱量が何によって決まるのかを見出させます。また,実験結果をまとめ,測定結果を目的に応じて処理する技能を高めさせます。
メスシリンダーでくみ置きの水100cm^3をはかり取り,それを水100gとして考えます。くみ置きの水は温度も忘れずに記録させましょう。くみ置きの水を使うのは,実験開始時の水温が室温に近いほど,よい結果が得られるためです。
教科書の図のように電源装置の+極から順番に配線していくように指示し,ヒーターに対して電圧計が並列に,電流計が直列につながっているかをチェックさせます。
ヒーターは屋内配線用ケーブルを使って自作するか,次の市販のものを利用します。
・「中学生用電流による発熱実験器B10-5751」(株)ナリカ
・「電熱線ケーブル3 種組1-114-0286」ケニス(株)
また,あらかじめ電熱線の電気抵抗を測定しておき,電力がいくらになるか調べておきましょう。
@電圧を変えて調べる場合
測定用とは別のくみ置きの水にヒーターを入れ,電圧が3.0Vになるように調整しておきます。調整後,測定用の水を入れると同時に時間をはかります。3分間たつ間に電流の大きさをはかり,3分後に水温を測定します。
測定した電流の大きさと電流の大きさの積から電力を求め,また水の上昇温度も求めます。
続いて電圧が6.0V,9.0Vとなるように調整し,これまでの実験を繰り返します。このとき,水は新たにくみ置きの水に交換します。
測定結果は表にまとめ,電力を横軸に,上昇温度を縦軸にとったグラフに線グラフとして記録します。

得られるグラフの一例
A電流を流した時間を変えて調べる場合
@の場合と同様に電圧が一定(以下では6.0V)になるように調整し,電流をはかります。
水をゆっくりとかき混ぜ,測定用の水にヒーターを入れて時間をはかり始めると同時に,最初の水温を読み取ります。測定中もときどきかき混ぜ,水温が不均一にならないようにします。また,温度計は最小目盛りの10分の1まで読むように指示します。
測定した電流の大きさと電圧の積から電力を求め,水の上昇温度も求めます。そして,測定結果をまとめたのち,経過時間を横軸に,上昇温度を縦軸にとったグラフに記録します。

得られるグラフの一例
@とAの実験結果から,発熱量と電力との関係,発熱量と電流を流した時間の関係を生徒に考察させましょう。
配線中はスイッチを切っておくこと,それぞれのヒーターの測定ごとにスイッチを切ることとし,電流を流しっぱなしにしないように注意します。
また,配線を誤って回路をショートさせないように注意しましょう。
[エネルギー]電流とその利用
1章 電流の性質(教科書p.236〜243)
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