授業のワンポイント
物体のもつエネルギーとその変換
■物体のもつエネルギーと速さや質量の関係
物体が運動しているときにもつエネルギーの大きさが,物体の速さや質量とどのような関係にあるかを調べさせるのがねらいです。また,この実験を通して,測定データを表にまとめたり,グラフを作成したりする技能を身につけさせます。
運動エネルギーを測定していることを明確にするために,水平方向に小球を発射できる市販の力学的エネルギー実験器のセット(運動エネルギー実験器)を使うと,準備に手間がかかりません。
また,このセットの発射装置はばね式で,3段階の速さで打ち出し,速さの調整ができます。質量の異なる小球をほぼ同じ速さで打ち出すことができます。

実験器の配置図
@エネルギーと速さとの関係を調べる場合
同じ小球を同じ速さで打ち出し,くいの移動距離を3回測定して,その平均を表に記録します。速さはねじで微調整します。また,速さ測定器の表示は,m/sにしておきます。次に,同じ小球を別の速さで打ち出し,同様に平均を記録します。小球の速さは3段階に変えさせましょう。
Aエネルギーと質量の関係を調べる場合
質量の異なる小球を3種類使って,同じ速さでくいに衝突させ,くいの移動距離を測定します。同じ小球・同じ速さについて3回計測し,その平均を表に記録させます。
小球の速さを横軸に,くいの移動距離を縦軸に取ったグラフと,小球の質量を横軸に,くいの移動距離を縦軸に取ったグラフの2種類のグラフを,記録をもとに作成させます。なぜこのようなグラフになったのか,生徒に考察させましょう。小学校5年で条件制御について学習しています。速さ・質量の一方を一定にし,他方だけ変えて測定する条件制御の重要性をここで再確認させたいところです。
また,小球の質量とくいの移動距離の関係のグラフについては,理論的にはグラフは直線にはなりません。定量的な扱いをせず,「小球の質量が大きいほど,くいの移動距離も大きくなる」といった定性的な扱いにとどめたほうがよいでしょう。
【作成したグラフの一例】


■エネルギーの変換
日常生活で電気エネルギーがどのようなエネルギーに変換され,利用されているかに興味を持たせ,いろいろな種類のエネルギーは互いに変換できることを理解させるのが目的です。
まず,すべてのエネルギー変換の実験で,器具や装置につなぐ前と後の,手回し発電機のハンドルの手ごたえの違いを確認するように指示を出しておきます。手ごたえの違いが何を意味するか,実験後に生徒に考察させてみましょう。
エネルギーの変換の実験にはさまざまな種類がありますが,そのうち2種類かについて説明します。一つは,手回し発電機を発光ダイオードに正しく接続し,電気エネルギーが光エネルギーに変換されることを確認するものです。ハンドルを少し速く回転させると発光ダイオードが明るくなることに気づかせたいところです。
もう一つは,おもりを落下させ,手回し発電機のハンドルが動くことを確かめる実験です。この実験によって,おもりの位置エネルギーが電気エネルギーに変換されたことを理解させます。
[エネルギー]運動とエネルギー
3章 仕事とエネルギー
4章 多様なエネルギーの変換(教科書p.217〜225)
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