授業のワンポイント
温度が変化する化学変化
■塩化アンモニウムと水酸化バリウムを混ぜる実験
化学変化により温度が変化することや,燃焼以外にも熱の変化があることを,この実験を通して生徒に体感させます。具体的な実験手順は,以下の通りです。
温度計で室温をはかり,記録します。塩化アンモニウム1gと水酸化バリウム3gをふれ合わないように,ビーカーに入れます。水でぬらしたろ紙に穴をあけ,ビーカーにかぶせ,そこから,ガラス棒を入れてよく混ぜます。ろ紙の穴から温度計をさし,温度をはかって記録し,前後の温度の変化について考察させます。
実験の際には,十分に換気し,発生するアンモニアを吸い込ませないように注意します。また,水酸化バリウム水溶液は強いアルカリ性を示すため,皮膚につかないように留意させます。また,保護眼鏡は必ず着用させましょう。
外から冷やしているわけではないのに,温度が下がっていることに注目させ,温度変化と化学反応を結びつけて考えさせます。具体的には,両物質の反応によりアンモニアが発生し,吸熱反応が起こっている事に気づかせましょう。
■化学かいろ・簡易冷却パックの作成
発熱反応と吸熱反応の両方を体感させる実験として,これを行います。
まず化学かいろについてですが,これは,鉄と酸素が結びついて発熱していることを調べます。実験の流れとしては,まず,厚手のポリエチレンの袋に鉄粉8gを入れて温度をはかり,活性炭4gを入れます。活性炭をはかり取るとき,こぼれやすいので注意させましょう。続いて,半紙をちぎって塩化ナトリウム水溶液を染み込ませ,ピンセットを用いて袋の中に入れます。ここでの塩化ナトリウム水溶液は,鉄と酸素の反応を早める役割をしています。最後によくふり混ぜ,実験後の温度を記録し,前後の変化を生徒に考察させましょう。
鉄粉と活性炭の混ぜ合わせが十分でないと,反応に時間がかかります。あらかじめ鉄粉と活性炭を密閉容器に入れて,ふたをしてよく振り混ぜておいてから,塩化ナトリウム水溶液と合わせると,温度が上がりやすくなります。

振り混ぜる際,部分的にとても熱くなることがあるので注意させる。
簡易冷却パックでは,炭酸水素ナトリウムとクエン酸の化学反応によって吸熱反応が生じていることを生徒に理解させるのがねらいです。化学かいろと同様,厚手のポリエチレンの袋に炭酸水素ナトリウム4gを入れて温度をはかった後,クエン酸3gを入れます。このとき,袋の中に水分があると,あまり温度が下がりません。袋の中がぬれていない状態で,実験を始めるようにします。スポイトで水3cm^3を入れよくふり混ぜ,実験後の温度を記録します。

水を入れる際,気体が発生するので袋の口は閉じない。
いずれの場合も,激しく振れば振るほど,温度の変化が大きくなると考える生徒がいるので,事前に振る意味を指導しておきます。また,袋の内容物は薬品で顔にかかったり,目に入ったりすると危険であることを事前に生徒に伝え,注意させましょう。
[物質]化学変化と原子・分子
1章 さまざまな化学変化(教科書p.174〜190)
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