授業のワンポイント
火成岩の観察
■火成岩の観察
教科書p.97の実験は,火成岩の鉱物の形や色,大きさ,集まり方の特徴を捉えて記録できるようにすることがねらいです。また,火成岩によって岩石鉱物のちがい,組織のちがいがあることを見いださせます。
準備する岩石標本としては,平らに研磨したものがよいでしょう。研磨面のある標本を自作する場合は,以下のようにしましょう。
@取扱説明書をよく読み,安全に注意しながら,岩石カッターで切断する。
A切断面を,水でぬらした目の粗い耐水研磨ペーパー,あるいは水でといたカーボランダムで磨く。
Bよく洗い乾燥させた研磨面に無色透明のラッカーなどを吹き付ける。
この作業は,換気のよい場所で行い,吸い込まないように注意しましょう。
続いて観察に移りますが,ルーペで行う場合は,次の図のようにルーペを太めの針金などで固定すると観察しやすくなります。

ルーペを用いた観察方法
観察面を研磨していない火成岩を観察させるときは,岩石表面に当てる光の角度を変えることで,鉱物のへき開面が輝いて,鉱物の存在や境界がわかりやすくなることがあります。研磨した火成岩を観察させるときは,スタンドライトのような光源を利用すると研磨面が見えやすいです。
ルーペや双眼実体顕微鏡は,直射日光の当たらないところで使用するようにしましょう。
スケッチは,岩石全体のりんかくではなく,岩石を構成している鉱物の色,形,集まり方に注目させ,表面のようすを細かくかかせます。また,スケッチが苦手な生徒には,岩石標本をテレビ画面やタブレット画面に拡大表示し,観察する範囲や視点を個別に指導するようにしましょう。
岩石標本は,新聞紙やエアマットの上に置くこと,机の端に置かないようにすることにも注意しましょう。
最後に,最初に説明した4つのポイント(形・色・大きさ・集まり方)について火成岩の性質を考察し,次の表のようにまとめさせましょう。

2種類の火成岩A(安山岩)・B(花こう岩)を観察したときの一例
■冷え方のちがいによる結晶のでき方を調べるモデル実験
最初の実験で観察した火成岩の性質に関係して,マグマの冷え方のちがいによって結晶の大きさや集まり方がちがうことを,モデル実験で調べます。
実験で使用するミョウバンについては,次のことに注意します。カリウムミョウバンは,200℃以上で焼ミョウバンとなります。約650℃以上で,ガスを発生するので,固体結晶そのものを加熱してはいけません。また,焼ミョウバンは水に溶かすと白濁しやすく,長時間の攪拌が必要になります。そのため,この実験では焼ミョウバンは使用しません。
ミョウバン30gをぬるま湯50cm^3が入ったビーカーに入れ,ゆっくりかき混ぜながら,ガスバーナーで70〜80℃まで加熱し,ミョウバンを全てとかします。続いて,できたミョウバンの水溶液を空気中で65℃まで冷やして,ゆっくりかき混ぜます。この間に,次の2つの水そうを用意します。
水そうA:氷水を入れ,水温10℃以下にする。
水そうB:約60℃の湯を深さ10cm以上入れる。
先ほどのミョウバン水溶液を,あたためた2つのペトリ皿に入れ,いずれのペトリ皿も水そうBに浮かべます。ペトリ皿に3mm程度の結晶が十数個できたら,1つのペトリ皿を水そうAに移します。やけど防止のため,厚手の耐熱性ゴム手袋を着けて行うようにします。
ゆっくり冷やしたときと急に冷やしたときで,それぞれできる結晶の大きさはどのようになったか,水そうAとBのそれぞれのペトリ皿にできた結晶は,どのような大きさのものがどのように集まっていたか,実験後に生徒に考察させましょう。

実験の流れ
[地球]活きている地球
3章 火をふく大地(教科書p.96〜99)
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