授業のワンポイント
化学変化の前後の物質全体の質量
■沈殿ができる反応
この化学変化では,反応の前後で物質全体の質量が変化しないことを見いださせるのがねらいです。
手順としては,まず2.5%硫酸20cm^3と2.5%水酸化バリウム水溶液20cm^3を準備し,いずれも,電子てんびんに乗せて合計質量を測定します。その後,2種類の水溶液を混合し,沈殿を発生させます。沈殿ができた後の合計質量を測定し,前後の質量を比較します。
実験の際,水酸化バリウムと硫酸の取り扱いには,じゅうぶん注意させます。特に,水酸化バリウムは強いアルカリ性を示すため,絶対に目に入らないように保護眼鏡を必ず装着させましょう。
■気体が発生する反応
この化学変化においても,密閉容器内で反応させた際に,反応の前後で物質全体の質量は変化しないことを見いださせるのが目的です。
炭酸水素ナトリウム1gを容器の底に,5%塩酸10cm^3を内容器に入れ,ふたをしっかり閉めます。これを怠ると,気体が逃げるため,反応の前後で物質全体の質量が変化し,実験が失敗してしまいます。また,未反応の塩酸がもれる可能性もあり,大変危険です。

内容器への塩酸の入れ方
塩酸を炭酸水素ナトリウムと反応させ,その粉末が全て溶け,気体の発生がおさまるのを待ってから,質量を測定します。続いて,ふたを緩め,気体が抜ける音によって,気体が逃げたことを確かめます。また,容器の口にポリエチレンの袋等をかぶせることで,気体が出ていくことを視覚的にも確認させることができます。

ふたの緩め方
■金属と結びつく酸素の質量
金属を空気中で加熱すると,結びつく酸素の分だけ質量がふえますが,その後は何回加熱しても質量がそれ以上ふえなくなることを,この実験により気づかせます。また,金属が酸素と結びつく際,金属と酸素の質量の比が一定になることを見いださせるのも目的です。
ここでは金属を銅とし,1.00gの銅に対して加熱を繰り返します。この試料をステンレス皿に薄く広げ,皿を含めた全体の質量を,電子てんびんで測ります。それから強い火で皿ごと金属を10分加熱し,火を止めます。じゅうぶん冷めてから,皿全体の質量を測ります。以降,この手順を繰り返し,質量を記録します。

実験の様子
加熱直後のステンレス皿は大変熱くなっているので,じゅうぶんに冷却してから作業させます。また,試料の金属としてマグネシウムを使用する場合には,以下の点に注意し,事前に指導しておきましょう。
・マグネシウムが発火すると強い光を発するので,凝視しない。
・湿ったマグネシウム粉を使用すると,反応中に水素が発生して爆発する可能性がある。
・生成物の酸化マグネシウムは塩基性酸化物のため,空気中の水や二酸化炭素と反応する。従って,やけどに注意しながら,できるだけ速やかに試料の測定を行う。
[物質]化学変化と原子・分子
4章 化学変化と物質の質量(教科書p.191〜201)
アンケート
よろしければ記事についてのご意見をお聞かせください。
Q1またはQ3のいずれか一方はご入力ください。